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世界の心理学界を震撼させたミルグラム実験(アイヒマン実験)とは?


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どうも!よつぶです!

 

今日はまた心理学系の記事を書こうと思います。今回は心理学ではかなり有名で、別記事で紹介した「スタンフォード監獄実験」と並んで残虐な実験として、大学の授業ではかなりの確率で紹介されている「ミルグラム実験」を紹介します。

 

スタンフォード監獄実験についてはこちらの記事でどうぞ。

環境が普通の人間を悪にする!スタンフォード大学監獄実験で人間の残虐行為の要因が解明された。

 

 

ミルグラム実験とは? 

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出典:ミルグラム実験 - Wikipedia

 

ミルグラム実験とは1961年にスタンレー・ミルグラムというアメリカの心理学者が、『権力者から命令されれば人は残虐行為を出来るのか』という疑問を解決する為に行った心理実験です。

 

実験では、参加者を『記憶に関する実験』として広告で集め、「教師」と「生徒」にグループを分け、教師が生徒に問題を出し、生徒が間違えば罰として電流を流すと言った内容でした。

 

グループ分けでは、必ず参加者が教師(上の図でT)になるよう仕組まれており、生徒役(L)はミルグラムが用意したサクラが演じていて、それぞれ上の図のように、教師は実験者の監視役(E)と同じ部屋に入り、生徒役のサクラは別の部屋に一人で入り、音声でのみ繋がっている状態を演出します。

 

さらに、教師役が生徒役に与えられる電流は最低15ボルトから、最高450ボルトまで9段階のレベル別でボタンがあり、高いボルト数のボタンの横には「激しい衝撃」、「危険な衝撃」等の注意書きが書かれていて、参加者がどこまでボタンを押せるかを試した実験でした。

 

生徒役はサクラなので、少しずつわざと問題を間違え、教師役に電流を与えさせ、間違える度に与えるボルト数を上げていきます。この時実際には電流は流れていないが、ボルト数が上がる度に、不快感を声に出したり、絶叫したりと、電流に対する演技の反応も上げていきます。300ボルト時点では生徒役は『実験を降りる』と叫び、次のレベルから無反応になり、意識不明になっているように演じます。

 

この実験内容を知った上で、実際に最高の450ボルトまでボタンを押す先生役が何人いると予想できるでしょうか?普通に考えればそんな残酷な仕打ちが出来る人はいないか、いてもごくわずかだと思うでしょう。実際に実験開始前に心理学者で予測してみても、最後まで実験を続ける人はごく少数だという予測が出ていました

 

しかし、実際に実験をしてみると、なんと40人の教師役の内、50%以上の25人もの人が最大ボルト数のスイッチを押したと言った結果が出ました。もちろん全ての実験参加者は途中で実験の続行に疑問を抱いて実験者(E)に確認をしたり、中止を求めたりしましたが、実験者に『続けて下さい』や『責任は我々が取ります』等の言葉をかけられ、嫌がりながらも最後までボタンを押し続けたのでした。

 

この実験でわかった事

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当初の予想とは真逆の結果になったミルグラム実験ですが、この実験で主に2つの事が判明しました。

 

1つ目は実験の回答として、『人は権力者から命令されると普通の人でも残虐行為をしてしまう』という事が判明しました

 

ミルグラム実験の参加者には精神異常者や犯罪者等は含まれておらず、ごく普通の20代〜50代の男性でしたが、疑問を持ちつつも、権力者(E)の『続けて下さい』に逆らう人は全体の半分もいなかったのです。

 

2つ目は『人は思考を停止させると残虐行為も可能』という事が判明しました。ミルグラム実験の様に、命令する権力者がいて、その権力者が責任を持っている様な状況下では、頭では非人道的とわかっていても、非人道的な行為をする為に思考を停止させてしまうとミルグラムは実験後に言っています。

 

アイヒマンとミルグラム実験

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 出典:アドルフ・アイヒマン - Wikipedia

 

ミルグラム実験の話には必ずと言って関連して出てくる「アイヒマン」というドイツ人がいます。彼は第2次世界大戦中のナチスドイツの軍人で、ユダヤ人の大量虐殺に大きく関わった人で、戦争終結後の裁判ではユダヤ人の大量虐殺の指揮をとった事を『上の命令に従っただけだ』と主張しました。

 

裁判後にはナチスの軍人は元々残虐な人ではなく、『ある一定の条件下では誰でもナチスの軍人と同じ行為をしてしまうのではないか』と言った疑問が叫ばれるようになり、ミルグラム実験もこの疑問を検証しようと始まった事で有名な為、「アイヒマン実験」とも呼ばれています。

 

アイヒマンは後に死刑になりましたが、ミルグラムの実験結果により、『誰でもアイヒマンに成る事は出来る』と判明され、当時は大きく新聞等で取り上げられていました。

 

アイヒマンの裁判のストーリーは映画化され、アイヒマンは残虐だったのではなく、状況が彼を残虐にしたと信じて彼を追ったユダヤ人哲学者ハンナのストーリーが描かれています。

 

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ミルグラム実験も映画化されていて、当時の実験の内容を忠実に再現しているので、映像で詳しく見たい方にはオススメです。ただし、日本では上映されていないはずですので、日本語版がない可能性が高く英語が苦手の方にはきついかも。

 

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まとめ

今回紹介したアイヒマン実験も、スタンフォード監獄実験と同じく、環境が人間を悪にする事を証明した内容の実験でした。

 

現代社会ではモラルや参加者へ与える精神的負荷の重さから、同じ様な実験は出来ませんが、だからこそ今でもこの様な実験は注目されていて、心理学の世界では必ずと言って言いほど話題に上がります。

 

この記事を書いていてあらためて、環境が人に与える影響は大きいんだなと実感し、アイヒマン程までは行かなくとも、環境に左右されて間違った行動を取らない様に気をつけなければいけないと思いました。

 

この実験を知る事で多くの人が環境が与える脅威を認知し、頭の端にでも置いておいてくれればいいなと思います。

 

ミルグラム実験関連本「服従の心理」

この本はスタンレー・ミルグラムが直接書き下ろしたミルグラムの実験に関する本です。

 

服従の心理ではアイヒマン実験やミルグラム実験の内容を詳しくミルグラム自ら説明しています。

 

人を自分に服従させたいと思っているのならオススメです!半分冗談ですが、半分本気です。

 

 

こちらもどうぞ。

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